民主主義の下において議会の占める役割は大きい。憲法を守り、立法機能と国全体のガバナンスを監督する責任がある。さらに、行政府、特に大統領の行動、権力の行使を監視・抑制する責任がある。 本年は、西部アフリカ諸国の雄、コートディヴォワールを訪問した。2002年に勃発したコートディヴォワール紛争は国を二分し、多くの犠牲者を出したが、2007年のワガドゥグ合意により、政府軍と反政府軍の「直接対話」が推進され、反政府軍のソロが首相となって、暫定政府が成立し、今日に至っている。同政府は最終的な民主的な大統領選挙と国民議会選挙を2008年6月末までに行うことを目的として作られたが、現在は選挙人の登録などでその選挙プロセスは遅々として進んでいない。しかしながら、国民は紛争に嫌気が差しており、国民和解への兆しはある。 コートディヴォワールでは、バクボ大統領、ソロ首相、クリバリ国民議会議長などと意見交換を行った。政治状況は、大きな混乱はないものの、選挙準備は混迷を極めており、予定された期日の延期は必須である。 議会と行政府の関係性においては、これまで調査してきた南部・東部アフリカ諸国以上にその状況は深刻である。議会による政府法案説明の要請に対しても、閣僚が応じないこともしばしばであり、委員会においても欠席することが多いという。調査のための図書館は倉庫と化しており、議員が行政府の行動をチェックするための手段は殆どない状況である。必然的に追認機関となっている。ヤムスクロへの移転によって様々なファシリティをい得るであろうが、議員の実質的な調査活動に有益かどうかは不明である。問題の所在が大統領に巨大な権力を与えたフランスの第五共和制憲法に倣って設置した憲法にあるのか、実際の運用にあるのかを精査していおかなければならないであろう。即ち、更なる調査が必要である。
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