今年度は、2009年3月にエチオピア、ケニア、タンザニア、南アフリカを訪問した。東京においては外務省アフリカニ課、現地においては各在外公館の全面的な協力を得て、調査を遂行した。エチオピアにおいては、モハメッドアリ外交委員長とエチオピアにおける議会の状況、ガバナンス状況や政治状況、ECAにおいては、アデジュモビECAガバナンス局長、AUにおいては、ママドゥ・ディアAUガバナンス局長などと、それぞれECA及びAUの立法府強化に対する取り組み等の意見交換を行った。ケニアにおいてはコンボ元自治政府担当大臣、ニョンゴ厚生大臣、チゲ経済企画局長らと議会能力向上の為の施策やパワー・シェアリング後のケニアのガバナンス状況に関して有意義な意見交換を行った。タンザニアにおいては、議会事務局関係者と意見交換を行った。南アフリカにおいては、PAPの取り組みに関して、PAP関係者と意見交換を行った。 多くのアフリカ諸国の立法府は、一般的に、憲法によって規定されたミッションを効果的に遂行する為に必要な教育、訓練、知識、ノウハウ、情報、設備などを欠いている。国会図書館、議員のオフィス、ITC、文書センター、専門スタッフなどをそもそも備えていない諸国が多い。政府の政策に対する監視機能を議会は有していても、その行使には限界がある。多くのアフリカ諸国では、概ね閣僚の方が各委員会の委員長より格上である。また、立法府と行政府や関係行政機関の間の公式非公式の意見交換の機会が極めて少ないというのも問題である。議会が召喚しても、会議場に現れない大臣もいる。しかし、AUを始めとして各国とも立法の能力の向上には関心を持っており、様々な取り組みを開始している。ECAとAUは、2009年度より、各国の議会スタッフの政策立案能力向上イニシアティブのプログラムを立ち上げ、セミナーなどを開催していく予定である。
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