研究課題
本年度は、アジア諸国を中心に現地調査を行った。ベトナム(ホーチミン)に2回、中国(北京)と韓国(ソウル)に1回、またEUおよび米国にも調査に入った。著作権保護が未成熟なアジア諸国では、インターネットの利用状況について学生にインタビューを行い、P2Pの現状について調査を行った。さらに、各国のインターネット・カフェとCDショップも調査した。また、違法コピー率が世界で最も高いベトナムでは、弁護士、歌手、マネージャーにもインタビューを行い、違法コピーがコンテンツ供給に与えている影響について詳細に調査を行った。アジア諸国では、国によってP2Pの利用状況は異なっており、今年度の一次調査では全体的な相互比較を行うことができた。ベトナムに関しては、多くの時間を割いたこともあり、ケース・スタディーとして2つの論文にまとめた。それらは、違法コピーの取締りがない状況で、ベトナムにおいてP2Pが普及していない原因について説明している。ベトナムのインターネット・インフラの現状のもとでは、インターネットの利用費用と従来のCDの海賊版価格との比較において、海賊版に利便性が多くあることがP2P普及の足かせになっていることがわかった。また、日本に先立ち音楽のネット配信を始めた米国とEU諸国の現状分析のために、配信における価格戦略について理論的な分析も行った。コピー回数の制限による製品差別化戦略が、企業の利潤のみならず、社会的な経済厚生を高めることを一般的な不完備情報ゲームのモデルで明らかにした。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
InfoCom Review 38
ページ: 120-129
Working Paper, Faculty of Social Sciences, Waseda University 2005-2
Working Paper, Faculty of Social Sciences, Waseda University 2005-3