研究課題/領域番号 |
17402025
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
薛 進軍 大分大学, 経済学部, 教授 (40262399)
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研究分担者 |
丸山 武志 大分大学, 経済学部, 教授 (20136774)
下田 憲雄 大分大学, 経済学部, 教授 (60187482)
高見 博之 大分大学, 経済学部, 助教授 (10264326)
南 亮進 城西大学, 経済学部, 教授 (80017657)
戴 二彪 国際東アジア研究センター, 上級研究員 (20300840)
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キーワード | 中国経済 / 所得格差 / 家計調査 / 深セン / 教育格差 / 下層階級 / 都市失業 / 貧困 |
研究概要 |
平成17年度では主に以下の調査・研究を行っている。 1,研究会の開催。18年度3月まで5回の研究会を開催し中国の所得格差に関する研究報告、文献整理、研究調査の打合せを行い調査票の作成をした。 2,現地視察と調査の準備。9月15-21日主な研究者は中国北京市に専門家のヒアリング、深セン市で家庭視察、テスト調査、および調査員の訓練が行った。これによって家計調査の準備が出来た。 3,家計調査の実施。2006年2月から3月まで深セン大学の共同研究者の協力によって深セン市家計調査が実施された。調査は高収入層、中収入層、低収入層に分けて深セン市の六つの行政区から三ツの区、数百の小区の情報からランダムサンプリングで千世帯を抽出し調査員の直接家庭訪問の形で実施された。調査に参加した研究メンバーは深セン市では治安が悪いので人々の警戒心が強くて調査は難しかったと感じ、中国の一番豊かな都市でも貧困家庭が多く格差が大きすぎということに驚いた。 4,本の出版と論文の発表。2005年本研究に関して研究のメンバーにより4冊の本と8本の論文が発表されている。研究代表者の薛進軍氏は1999年中国家計調査のデータ及び人口センサスの結果を利用して都市失業率、貧困率、地域格差、都市-農村格差、ジニ係数を推計している。学術誌に掲載された英語の論文は学会、国際会議でも発表され英文雑誌、学者によく引用されている。また、『中国人口科学』2005年第5期に掲載された中国語の論文は時系列データで中国所得分布のクズネッツ曲線を描いて中国のジニ係数はまだピックに達していないのでこれからもさらに拡大していくと警告を出している。これにより大きな反響を呼び、『中国社会科学文摘』および関連文献・論文にも引用・収録されている。分担者の戴二彪氏は中国とアメリカの経済格差を要因に改革・開放以降の中国からアメリカへの人口移動の要因、規模、特徴及び在米華人社会への影響を分析している。分担者の南亮進氏は中国全体としての所得分布は悪化していることを分析したとともにさらには都市の失業は増加しつつあり、失業者は流入した農民とともに都市下層階級を形成していること、またこれにより社会不安定の発生が政治に与える影響を指摘している。また、他の分担者も関連論文を発表している。
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