本年は、研究期間の最終年度にあたるため、これまでの現地調査に続いて、洩れなく調査を行うとともに、報告書についての内容について精力的に討議を行った。 まず、中国の現地調査においては、3ケ所目の事例調査として、アモイを訪問し、その商業開発の動向を詳しく調べた。アモイは立地的な制約から、中国には珍しい入り組んだ街並みとなっており、とりわけ「騎楼」といわれる、いわばゲタばきマンションのような形態により、特殊な街区を形成している。 また現地調査においては、本年も北京の清華大学の全面的な協力を得て、新装なった大柵欄商店街で来街者調査を実施した。大柵欄商店街は、北京オリンピックをめざして工事がすすめられていたが、結局、隣接する前門商店街とともに、工期が大きくズレ込み間に合わなかった。ただ、大柵欄商店街は以前とは完全に様相を異にし、商業地として回復を果たしたようである。 本年は、研究の最終期間として、現在、報告書作成に努力している。とくに、什刹海地区と大柵欄地区の2つを取り上げ、その地域の歴史的経緯ならびに現在の動向について、来街者調査結果の分析とともに、その問題の所在を明らかにすることを目指している。
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