研究課題/領域番号 |
17402030
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
樋口 直人 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (00314831)
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研究分担者 |
丹野 清人 首都大学東京, 都市教養学部, 講師 (90347253)
稲葉 奈々子 茨城大学, 人文学部, 助教授 (40302335)
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キーワード | 国際社会学 / 出稼ぎ / 国際労働力移動 / 外国人労働者 / 移民ネットワーク / 移住過程 / トランスナショナリズム / 在日外国人 |
研究概要 |
本年度は、日本とアルゼンチンの双方で予備調査を行ったうえで、アルゼンチンでの本調査にも着手した。具体的には、2005年7月〜8月にかけて1ヵ月半のアルゼンチン予備調査を実施し、アルゼンチン日系社会の状況、2001年の経済危機が日系社会に及ぼした影響、デカセギの推移について旅行社、日系団体、デカセギ経験者を対象として16件の聞き取りを行った。さらに、アルゼンチンで発行されている『らぷらた報知』記事を20年分読み込み、デカセギに関連する記事を収集した。2005年12月〜2006年1月には、本調査に着手し、ブエノスアイレス、ポサダス、ロザリオ、コルドバで27件のインタビューを行った。 こうした調査から得られた知見は以下の通りである。(1)80年代末のデカセギブーム以前から、一世を中心として日本との行き来は存在し、デカセギの原型といえるものもみられた。(2)ブーム期における一世のデカセギは、2年以下の短期がほとんどであり、それに加えて日本で継続的な就労先を得て今に至るまで日本就労を継続していることもある。一世の短期デカセギは、親族訪問や日本への旅行を兼ねたワーキングホリデー的なものが多い。(3)国内出稼ぎと同様に、1年のうち4分の3を日本で就労し、4分の1をアルゼンチンで過ごすような形態も一世では多い。(4)二世以下の場合、家族連れ以外は1年以内に帰国してまたデカセギを繰り返すか、そのままアルゼンチンに残る比率が高いと思われる。ただし、今年度は主に一世に聞き取りを行ったので、全体の状況は今後の調査をみないとわからない。こうした実証調査に加えて文献レビューを行い、またこれまで代表者らが行ってきた調査を本研究の枠組みから再解釈していくつか論文としてまとめた。
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