研究課題
本年度は、引き続きアルゼンチンと日本の双方で聞き取り調査を継続した。2007年7〜9月に稲葉・樋口が、12月〜2008年1月には樋口がアルゼンチンで聞き取り調査を進めた。日本でも2007年10月から断続的に聞き取りを進め、今年度は新規で50名に対してインタビューを行った。こうした調査に関わる成果としては、大きく以下の2つの形で発表している。第一に、デカセギの軌跡に対して「家族」要因に着目することの重要性が明らかになった。そのため、聞き取りを行ったうちいくつかの特徴的な家族を選び出し、家族単位でのデカセギの軌跡を描き出すことで予備的な考察を行う論考を執筆した。そこから得られたのは、世帯再生産をめぐる要請がデカセギに関する行動を大きく規定するという暫定的な見通しである。デカセギの全体像は、調査データが揃ってから本格的に発表するが、家族については現時点で可能なものから事例報告を蓄積させていく予定である。第二に、アルゼンチン人との比較のため、日本で就労していたバングラデシュ・イラン人に対して行った調査データの再解釈を進めて論考を発表した。前者と後者には、正規滞在-非正規滞在、家族-単身といった相違が存在し、全体としてはアルゼンチン人の方が有利な状況にあるが、貯蓄や送金に関してはそうなっていない。非正規滞在者のほうが、むしろ昇給もあり帰国後に一定の資産形成を行えていることが明らかとなった。こうした相違は何によるのか、デカセギの帰趨にどう影響するのかを今後解明したい。
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