研究課題/領域番号 |
17402036
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研究機関 | 山梨県立大学 |
研究代表者 |
文珠 紀久野 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (70191070)
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研究分担者 |
伏見 正江 山梨県立看護大学, 短期大学部, 教授 (30279898)
小尾 栄子 山梨県立看護大学, 短期大学部, 助手 (80369503)
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キーワード | 孤児 / PTSD / 東ティモール / 戦乱 / 身体発達 |
研究概要 |
2002年5月に独立した東ティモールは、これまで長い戦乱の中にあったことにより、多くの子どもは親や家族の殺戮場面に遭遇させられることとなった。さらに、自分の生命が危険にさらされるような体験をした子どもも多くみられた。その中で、親を亡くし、あるいは親の育児放棄といったことにより、子どもたちは孤児院での生活を余儀なくさせられることとなった。本研究の目的は、そういった体験が子どもの心理面、身体発達にどのような影響を与えるのか、心的外傷を負った子どもへの援助の可能性を探り、効果的な援助方法を検討することである。 首都のDili市内5箇所、東部地区2箇所、西部地区2箇所、南部地区2箇所、計9箇所の孤児院で、心理テストと身体計測を実施した。また、障害児学校1箇所では心理テスト、幼稚園1箇所では身体計測を行った。 その結果、2006年3月から勃発した紛争状況によって、心理的不安定さを増幅させていることが見出された。また、身体発達状況においては、やせ気味、あるいはやせと判断される子どもが約80%であることが明らかとなった。継続的に実施している心理テストからは、悲哀感、攻撃性、過去の体験によると思われる「外傷」が見出された。同時に、描かれている内容が少しずつ豊かになってきていること、全体が統合されていると判断される絵が増加していることから、自己表現力の伸展や独立以来の平和な状況が続いていることからの影響とも考えられることが見出された。 今回、東ティモール国内の政情不安のため、健康面の調査、及び孤児院スタッフへのワークショップを開催することができなかった。 研究成果報告として、2007年2月16日〜18日、山梨県立大学において写真展とともに調査結果のパネル展示を行った。
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