研究課題/領域番号 |
17402037
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
清水 一彦 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (20167448)
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研究分担者 |
藤田 晃之 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 助教授 (50261219)
渡辺 聡 筑波大学, 大学院ビジネス科学研究科, 助教授 (90344845)
山田 礼子 同志社大学, 社会学部, 教授 (90288986)
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キーワード | 義務教育制度 / ミドルスクール / いじめ / 不登校 / 教員養成 / 学習集団 / カリキュラム / グレイド制 |
研究概要 |
本年度は、ミズーリ州における教育の全体状況を把握するとともに、コロンビア学区におけるいじめや不登校など生徒の問題行動発生の制度的背景を明らかにするとともに、義務教育教員の養成プログラムにみられるカリキュラムの実態及びその構造を明確にすることを目的とした。その結果、得られた知見・示唆は次のとおりである。 (1)ミズーリ州では教育の質的水準の維持・向上のために、教育委員会による教育の質チェックが厳しく行われ、従来の教員養成に代わるオールタナティブな教師教育改革も進行している。 (2)生徒の問題行動を解決するために、「多様性」「平等」あるいは「悩み・問題」について教師と生徒との話し合いの機会が設けられ、またカウンセラーに教職経験を求める動きもみられる。 (3)学校全体としていじめ問題への意識統一や協働体制が整備され、教師の学校現場での混乱や多忙さ、あるいは疲労の状況はわが国の場合と比べて比較的少ない。 (4)教師間あるいは保護者との議論の場に関しては、わが国の場合は生徒の問題行動や課外活動について多くみられるが、ミズーリ州ではむしろ生徒の学習面の方が大きな関心事になっている。 (5)教員養成カリキュラムにおいては、生徒の問題行動に関係した活動を通して専門性を高める経験を積み上げていくことが重視されている。例えば、クラス全体の授業や小グループあるいは個人指導など指導体制の柔軟性によって、これらの問題にも対処している。 (6)アメリカではグレイド制(grade system)が社会一般に普及し、必ずしもわが国のような学校段階と国民意識とが直接結びついてはいない。そのため、わが国と異なりいじめ発生は学年を追うごとに増加するという特徴をもつ。
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