研究課題/領域番号 |
17402048
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研究機関 | 独立行政法人国立特殊教育総合研究所 |
研究代表者 |
後上 鐵夫 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 教育相談部, 部長 (10225641)
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研究分担者 |
小林 倫代 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 教育相談部, 総括研究員 (00300715)
小澤 至賢 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 教育相談部, 主任研究員 (60419942)
大崎 博史 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 教育相談部, 主任研究員 (40359120)
大柴 文枝 独立行政法人国立特殊教育総合研究所, 教育相談部, 主任研究員 (50185245)
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キーワード | 特別支援教育 / 相談支援体制 / 在外日本人学校 / 海外特殊教育事情 |
研究概要 |
二年間の研究で、二つの調査と述べ21校への訪問による実地調査を行った。その中で、日本人学校の実情と課題が明らかになってきた。 (1)企業等から派遣され、海外に駐在する日本人は年々年齢層が若くなり、子育て期の年齢層になってきている。それに伴って、当然ながら障害のある子どもを帯同することによるさまざまな不安や悩み、教育・養育・発達等にかかる相談も増加している。 (2)障害(軽度発達障害を含む)についての専門知識や指導技術がある教員がいないため、障害のある児童生徒の教育相談を受けたときや指導実践の方法等に常に不安がある。学校での取り組みや校内体制へのスーパービジョン、コンサルテーションを強く求めている。 (3)子どもの状態を正しくアセスメントする専門的知識がない。子どもへの評価(学習上のつまずきの評価と具体的指導法)、コミュニケーションや対人関係に困難がある子どもへの接し方、教材・教具の入手方法、指導上のヒントやアイデアなど子どもの実態に即した具体的な支援が必要である。 (4)国内外における障害に関する情報、特別支援教育について国や各地の動き、他の日本人学校における取り組み事例についての相互情報交換等、特別支援教育の動きに関する情報を総合的に得ることが難しい。 (5)日本各地から教員が派遣されており、現時点では派遣している都道府県や市町村の特別支援教育の考えに大きな差があり、教員集団の共通意識・認識に立って取り組むことが難しい。 (6)子どもだけでなく家族全てが、外国に来ているということが影響している心理的な緊張からくる様々な問題を抱えていることがある。こうした心のケアーへの対応のために、養護教諭、学校カウンセラーの配置が急務である。 (7)派遣教員の人数が削減されてきており、TTや取り出し指導など校内体制をつくることに困難が生じてきている。特に小規模校に大きな困難がある。 (8)日本人学校では学校運営理事会等が大きな影響力を持っている。また、校長や事務局長の運営・経営方針との関係も強い。障害のある子どもの受け入れが可能となり、特別支援教育が日本人学校に深化していくためには、この両者の積極的な理解が必要である。現在、積極的に特別支援教育を推進している学校は、この点に対しての努力が見られる。
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