研究課題
平成14年度からの3年間に亘り、宇宙の地上観測面で新機軸となる観測的研究を推進するために、科学研究費補助金(基盤A、代表:舞原俊憲)により、面分光タイプおよび多天体タイプの両モードを備えた光ファイバーの分光観測装置の開発・製作を行ってきた。今年度はその装置による天文学的な観測を実施するための準備として、京都大学において完成していたファイバー分光器のハワイ観測所への搬出、すばる望遠鏡のドーム内での組立調整などの作業を中心に行った。さらに、主焦点の補正光学系部分の性能試験、分光装置自体の冷却試験や分光器の調整および機械系の駆動試験などを実施した。これらのかなり大掛かりな現地における組立調整に、延べ6名の学生(学部学生、大学院生)の研究協力者の補助を依頼して実施して進めた結果、当初の分光器の光学系の調整と大型赤外線アレイ検出器の駆動システムの調整が予定通り行われて、約250本の赤外線スペクトル画像データがファイバー分光器によって得られ、分光器自体としての光学性能が確認された。ただし、本分光器のファイバーヘッド部分を取り付ける主焦点部には、今回新たに搭載した補正光学系とケーブル巻き取り装置などのPFUと呼ばれるユニットが取り付けられた。そのPFU部分の試験試験では、補正光学系の光学軸調整や巻き取り装置自体に幾つかの間題が生じたために、実際の分光器を用いた観測には至っていないが、複雑な分光器全体の光学調整は当初の予定通りできた。そこで、もう一つの試験観測計画であるナスミス焦点部に面分光型分光観測モードのための準備を順次進めている。次年度にはそれを用いた試験観測を実施する予定である。本分光器の前に開発したOHS分光器で、重力レンズの大きな増光効果を受けた遠方銀河の星生成活動の定量的推定を示す観測を行ったほか、本研究に直接関連する観測的研究でも成果が得られた。(次ページ成果発表参照)
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
Nature 440
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