研究分担者 |
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143366)
田近 英一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (70251410)
後藤 和久 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10376543)
長谷川 卓 金沢大学, 理学部, 准教授 (50272943)
豊田 和弘 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 准教授 (10207649)
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研究概要 |
平成19年度は,水深や衝突地点からの距離の異なる複数地点におけるK/T境界層の堆積メカニズム,堆積の同時性を定量的に解明するため,メキシコにおいて現地調査と試料採取を行った.調査地域として,K/T境界層であることが既にわかっているミンブラル・ラヒーヤ地域を選定した.クレーターへの海水の流入と流出によって津波が発生した場合,その第一波は衝突クレーターに向かう大規模な引き波になることから,同層の最下位の斜交葉理にその痕跡が残されている可能性が高い.そのため,同層最下位の斜交葉理に特に着目して調査を行ったものの,角度が極めて低角で流れの方向を特定するには至らなかった.一方,上位層には流れの方向が反転する斜交葉理が繰り返し,植物片なども取り込まれている様子が観察された. これまでのキューバ,メキシコの試料分析により,天体衝突地点近傍では陸上植物の生態系がK/T境界後約10万年で回復していたことが明らかとなった.この回復の全球的同時性を検討するために,衝突地点から最も遠く離れたニュージーランドを対象に研究を行う必要があった.そこで,平成20年度に,ニュージーランド南島北部・マルボロ地方のK/T境界堆積物に注目し,Flaxbourne river,Waranui,Woodside creekにおいて地質調査を行った.保存が良好であったFlaxbourne riverセクションの境界層を含む上下5m区間,WaranuiセクションとWoodside creekセクションのそれぞれ同2.7m,1.6m区間では,岩相記載を行い,詳細な柱状図を作成した.そして,キューバ・メキシコのK/T境界層と年代対比を行った.これにより,各セクションの境界上25〜30cmの堆積物が,K/T境界後の10万年間に相当することが明らかとなり,該当期間の堆積物を約1万年の解像度で採取することが可能となった.
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