研究概要 |
太古代における地球環境を復元すること(たとえば酸素に富んだ大気がいつ地球表層に出現したのかを特定することなど)は,生命の発生・進化に関わる極めてインパクトの高い研究課題である.南インドのダルワール地塊は,太古代後期の縞状鉄鉱層,Mn鉱床,ストロマトライト,有機物に富んだ泥岩などの堆積岩が広範に分布する,世界でも数少ない地域であり,本申請研究を展開する地域として最適である.本申請研究では,南インドのダルワール累層群の堆積岩類とそれに伴う緑色岩類の風化変質を受けていない新鮮な岩石試料について岩石学的および地球化学的研究を行い,太古代後期の地球表層環境を復元すること,とくに酸化大気の出現時期を特定することを主な目的とする. 本年度は,1月初旬から2週間程度,加藤,加納,椚座,4名の大学院生およびJayanandaが現地地質調査を展開し,Bababudan層群からChitradurga層群の縞状鉄鉱層とそれに密接に伴われる緑色岩の詳細なサンプリングを行い,約1トンの岩石試料をインドから日本へ搬送した.現在,岩石学的記載(透過・反射顕微鏡観察)および化学分析(EPMA,XRF,ICP-MS)を進展させつつある.次年度にこれらの結果をまとめ,国際学術雑誌のResource Geology(2004インパクトファクター=0.515)から特集号(A Special Issue : Banded iron formation in Dharwar Craton)を刊行する予定である.
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