研究概要 |
地球の原生代の歴史は,三つの主な超大陸,コロンビア(19億年前),ロディニア(10億年前),ゴンドワナ(5.4億年前)の形成を物語る。南インドはゴンドワナ超大陸の重要な切れ端である.インド半島の南部に広がるKeralaコンダライト帯の高度変成岩は,ゴンドワナ超大陸の誕生に関係したテクトニクスに重要な手がかりを保持している.本プロジェクトは,原生代の超大陸コロンビアとゴンドワナの進化について,岩石学的,変成岩的,地質年代学的な歴史をたどる目的で,平成17年度〜19年度の3年間に,Keralaコンダライト帯と近隣のグラニュライト地塊で詳細な野外地質調査と種々の実験研究に着手した. 本プロジェクト下の研究は,ゴンドワナ超大陸形成時の衝突テクトニクスに伴う変成作用で生成した超高温グラニュライトの産地を数箇所発見した.本研究で得られた野外調査,岩石研究,流体包有物研究のデータから,グラニュライトの生成にCO2流体が重要な役割を演じたことが推定される.本プロジェクトでは,二次イオン質量分析(SIMS)によるジルコンのU-Pb年代とEPMAによるモナザイトのU-Th-Pb年代を測定し,変成作用を受けたジルコンとモナザイトが新原生代後期〜カンブリア紀の年代を示すことがわかった.超高温グラニュライトに含まれるモナザイトの年代測定は,ピークの超高温変成作用がおよそ5.8億年〜6億年前に起こったことを示し,ゴンドワナ超大陸を形成した衝突がこの時期に起こったことが推定できる.
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