研究概要 |
ウランバートル市からウラーンゴム市に至るモンゴル国北西部の井戸,湧水,河川水等47地点で採水し,現地でpH,電気伝導度,ORP等を測定した結果,pHは平均7.5,電気伝導度は平均51.7mS/m ORPは平均193mg/lであった.調査した47地点のうち32地点の水を日本に持帰り大腸菌群数,各種イオン濃度,重金属およびヒ素濃度等を測定した。大腸菌数はごく一部の地点を除いて検出されず,この地域の飲料水はこれまで調査した他の地点に比べ著しく衛生的であった.また各種無機イオン濃度からキーダイヤグラムを作成した結果、32地点中19地点が炭酸カルシウム型であった. また,同上の森林ステップ地帯(平均高度:1342m,土壌斜面傾斜:3°,土壌硬度:19)より41点の草原表層土(0-10mcm深)を採取して下記のような土壌特性の結果を得た.pH(H2O):7.6、EC:96μS/cm,CEC:9.6cmol/kg,置換性Ca;17.7,Mg:3.2,K:1.5,Na:0.6cmol/kg,塩基飽和度は334%を示し,乾燥によるCaを主体とした塩類集積が顕著であることが認められた.また,全N:2230mgN/kg,全C:24100mgC/kg,C/N:13であり,NH4+及びNO3-のNはそれぞれ13.6mgN/kgと僅少であった.全リン酸は1081,可給態リン酸は71mgP2O5/kgでリン酸肥沃度は中程度であり,無機態リン酸中Ca-P:387mgP2O5/kgが最も多く,次いでAl-P:214,Fe-P:131mgP2O5/kgの順になった.また,有機態リン酸を加水分解するフォスファターゼは132μgPNP/kg/hrとかなり高い酵素活性を示した.一方,リン酸吸収計数は6mgP2O5/kgと微小で,加水分解により放出され,さらにpH変動により可給化されるか,あるいは土壌への付加有機物中の無機リンは固定化によるリン酸不溶化を生じないことが明らかにされた.土壌成分と水質との関係は土壌の交換性イオン濃度と水中のイオン濃度でその相関性を今後検討したい.
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