研究課題
マレーシアは世界に12ヶ国にあるメガダイバーシティセンター(世界中で生物多様性の最も高い国のひとつ)として指定され、全世界の約10%の生物種が棲息していることが明らかになってきた。特に植物に関しては、180属3000種のシダ植物と2180属25000種の種子植物が自生している。膨大な種の自生にもかかわらず、世界的に見ても未知植物および固有植物の宝庫となっている。さらに、マレーシアでは、マレー半島およびボルネオ島という異なる環境の地域が存在し、種の多様性に富むと同時に、未利用植物の調査研究が遅れている。本研究では、マレーシアの未利用植物の調査を行い、新しい制がん性天然薬物の探索と開発に応用するものである。本年度は、マレー半島中央部のキャメロンハイランド周辺地域の伝承薬物および未利用植物の調査をマレーシア共同研究者とともに行った。特に、ヒカゲノカズラ科、キョウチクトウ科に属する民間伝承植物などを採集、同定を行った。さらに、抽出操作は、ペナン理科大学、UiTM大学の研究室にて行い、抽出エキスを持ち帰った。一方、マラヤ大学との共同研究で、マレー半島中央部の未利用植物の調査を行い、ハイビスカス、ニガキ科植物などを採集した。ヒカゲノカズラ科植物より、アセチルコリンエステラーゼ阻害活性を有する新しいアルカロイドを発見して、構造を解明するとともに、それらの活性を評価した。調査研究によって採集した未利用植物の抽出エキスからチューブリンおよびアクチンなどの細胞骨格タンパク質を標的とするスクリーニングを行い、新たな制がん性天然物質を探索中である。
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