インドネシアのカリマンタン島セントラルカリマンタンにおいて、2005年7月2〜9日、10月7〜13日、12月17〜26日の計3回の調査を実施した。現地では、パランカラヤ大学を拠点として、カハヤン川上流で、スピードボードで行くことが可能な最上流のツバングミニからパランカラヤまでの間の本川で13ヶ所の調査地点を決めた。また、金採掘が活発な支川についても調査地点とした。これらの地点は、調査時に緯度、経度を観測し、毎回同じ場所で採水等を行うようにした。調査地点では、pH、EC等の測定を行うとともに、水銀測定用の試料の採水と採泥を行った。7月のサンプルは日本に持ち帰り、公定法に基づいて分析を行った。その結果、カハヤン川の河川水中の総水銀濃度は0.05μg/L以下と日本の環境基準の0.5μg/Lの1/10以下であり、カハヤン川の河川水中の水銀濃度に関しては、問題がなかった。しかし、支川の総水銀濃度は本川に比べて高く0.2〜0.3μg/Lであり、支川の上流では、日本の環境基準を超える地点があることも予想され、金採掘が活発な地域では、水銀汚染が懸念される。 カハヤン川の本川中の底泥中の総水銀濃度は、0.01〜0.1mg-Hg/kg-DWであり、他の汚染地域と比べて高くなかった。 これらのことから、現時点では、河川の水銀による汚染が深刻な状況までに至っていないと考えられる。 パランカラヤ大学に加熱気化方式の水銀分析計を持ち込み、現地で水銀測定が可能なように、標準試料の作成方法の指導や精度管理を行い、ほぼ現地で総水銀濃度が測定できるようになった。
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