研究二年度目の平成18年度には、8月および12月に、研究対象地域であるバイカンタプール村において二回の現地調査を行いデータを収集した。現地調査では、GPSを用いて調査区域内にある管井戸の位置を特定し、地図上に示してデータベース化した。またこの結果に井戸の深さと水質データとをあわせて分析し、調査区域内の地下水の水平方向、垂直方向のヒ素濃度の状況を把握した。また住民に対してはヒ素除去のためにどの程度の支払い意志額(Willingness to pay)があるかを聞き取り調査した。その際に本研究で中心的な役割を果たしているグアバ法(グアバの葉に含まれるタンニンと地下水中の鉄分とが反応して透視度が低下することにより鉄分濃度を把握し、ひいてはヒ素除去量が把握できる方法)のデモンストレーションを行うことによりどの程度支払い意志額が向上するかの調査も行った。また今年度はヒ素除去装置として最も安価なピッチャーフィルター(素焼きの坪と砂で地下水を酸化・濾過する仕組みの装置)について、リースによる手法で村落部全般に装置を普及させることができるかどうかの調査を行った。すなわちいままで買い取りにより住民がピッチャーフィルター等の機材を調達していたところを、リースにより調達し、従来ヒ素除去の上で課題であった維持管理をリースを行う住民組織等に依存することにより住民の経済的負担の軽減と維持管理の強化という一挙両得を目指す手法が可能かどうかの検討も行った。
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