研究課題/領域番号 |
17404013
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研究機関 | 独立行政法人国立環境研究所 |
研究代表者 |
一ノ瀬 俊明 独立行政法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 主任研究員 (30231145)
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研究分担者 |
三上 岳彦 首都大学東京, 都市環境学, 教授 (10114662)
白 迎玖 東北公益文科大学, 公益学部, 助手 (50372884)
泉 岳樹 首都大学東京, 都市環境学部, 助手 (10336513)
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キーワード | ヒートアイランド / 河川 / ミティゲーション / 暑熱 / 環境復元 / 大気環境 / ソウル / 大気汚染 |
研究概要 |
過去3年間の8月中旬において、復元河道近傍および河道より100m以内の5地点における、集中的な移動・定点観測による体感温熱指標SET^*の観測(温・湿度、風速、天空放射、地物表面温度)を行った。施工中期(高架道路はすべて撤去され、河道が掘削されて土壌が露出している状態)の2004年は比較的高温、施工最終年度(河道の復元が完了し、わずかに水が流れる状態)の2005年は比較的低温の条件となった。暑熱が問題となる典型日と考えられる日のデータを比較した結果、2003年に対し2004年はバックグラウンドデータとしての気象庁(江南)における気温が、着目時間帯(11時〜14時)で5〜7℃高温であったのに対し、河道周辺3地点では3〜4℃高温、SET^*ではほぼ同じレベルの値になっていた。しかし2005年は一転して涼しい夏となったものの、湿度が高かったためSET^*は微増という結果になった。なお、超音波風速計による風の移動観測により、河道に直交する街路には南北両方へ吹き出す事例も確認されている。 シンチロメーター(清渓川路をはさむ約75mのパスを東大門市場付近建物屋上に確保)による上向き顕熱フラックスの観測を行っている。観測日における13〜15時のデータを比較すると、2003年は正味放射収が400〜600W/m^2に対し顕熱フラックスが300〜500W/m^2、2005年は前者が200〜400W/m^2に対し後者が100〜150W/m^2となり、河道復元の効果が両者の比率の変化に現れている。 ソウル市政府が復元河道近傍(清渓4街)で2001年より常時観測している大気汚染物質濃度(PMやCOなど)には、復元工事による顕著な影響は確認できなかった。工事期間中新たに生じた慢性的な渋滞(ただし路線数や交通量は大幅に減少した)や、工事により表土が露出した期間が継続したことなども影響したためと思われる。
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