研究概要 |
スウェーデンでは、施設介護は認知症などごく一部に限定し、ターミナルケアまで在宅で行う方針を打ち出している。健康期から虚弱期、要介護期、ターミナル期までの在宅継続を支えるための施策として、(1)介護予防のためのデイセンターの役割、(2)住宅改造の重要性に着目し、施策の現状と効果、課題について明らかにすることを研究目的としている。そのために(1)デイセンターの配置計画、施設計画、運営と利用の状況および課題、(2)住宅改造の実施状況、効果、問題点について現地調査を実施する。本年度は9月・3月に訪問し、コミューン連合会、コミューンのヒアリング、デイセンターおよび住宅改造の実地調査を行なった。 1.デイセンターに関する調査結果 高齢者福祉予算における予防に係る費用は約2%であり、デイセンターにおける交流事業・レストラン等のほか、高齢者の介護をしている配偶者の支援、転倒予防事業などが行なわれている。デイセンターの有無や名称はコミューンによってまちまちである。健康な高齢者は、PRO、SPF等の年金者組織や教会等の団体に所属してのグループ活動、各種地域施設の利用、個人的な趣味等多様であり、高齢者の余暇活動におけるデイセンターの比重はそれほど大きくない。 2.住宅改造に関する調査結果 住宅改修は、住宅改修補助金等々に関する法律〔1992:1574〕」に基づいて実施されるが、各地のコミューン歩実情に応じて実施方法等を決めている。ヒアリングした3つのコミューンでは、(1)高齢者の生活を尊重した改修、(2)効果的な改修が行なわれるシステム、(3)居住安定のための賃貸住宅への改修費支給という点で共通していた。 高齢者、障害者を合わせた2004年度の住宅改修補助金の認可件数は63,300件、コスト総額は8億3,500kr(約125億円)で、高齢者福祉にかかるコスト総額の約1%にあたる。コストに比べて効果が高いと評価されていた。
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