研究概要 |
スウェーデンでは、施設介護は認知症などごく一部に限定し、ターミナルケアまで在宅で行う方針を打ち出している。健康期から虚弱期、要介護期、ターミナル期までの在宅継続を支えるための施策として、(1)介護予防のためのデイセンターの役割、(2)住宅改造の重要性に着目し、施策の現状と効果、課題について明らかにすることを研究目的としている。そのために(1)デイセンターの配置計画、施設計画、運営と利用の状況および課題、(2)住宅改造の実施状況、効果、問題点について現地調査を実施する。 1.デイセンターの役割に関する調査結果:社会的交流は高齢者の健康維持に重要だと考えられ、高齢者センター等の名称でミーティングポイントが人口1万人に1カ所前後の割合で設置されている。一般には高齢者がアクセスしやすい駅前などの場所に、複数の余暇活動室、集会室、図書館の分室、薬局、美容院、ランドリー、レストランなどを備え、コミューンの担当者がアクティビティを実施している。サービスハウスや地域のヘルパーステーションを付属している場合もある。近年では、健康な高齢者がボランティアとしてミーティングポイントを拠点としてデイケア活動を実施し、費用の節約と高齢者の社会参加という両面で効果を上げている。 2.住宅改造に関する調査結果:住宅改修は、「住宅改修補助金等々に関する法律〔1992:1574〕」に基づいてコミューンによって実施される。(1)高齢者の生活を尊重した改修、(2)効果的な改修が行なわれるシステム、(3)居住安定のための賃貸住宅への改修費支給という特徴を持つ。高齢者、障害者を合わせた2004年度の住宅改修補助金の認可件数は63,300件、コスト総額は8億3,500kr(約125億円)で、高齢者福祉にかかるコスト総額の約1%にあたる。コストに比べて効果が高いと評価されている。
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