本年度は本研究三年計画のうち、最終年度にあたり、客家遷移の源流を探るべくさらに調査を重ねた。 本年度は引き続き、江西省、福建省、広東省の省境一帯を対象地域とし調査・研究を行い、中原を源流とすると言われる客家変遷のルートの内、長汀ルート以外のルートについても考察を進めた。調査は、住居形式の変容プロセスを明らかにするべく、実測を中心に行い、図面化し、客観的資料として記録を残した。また、本調査の特色である、建築、プロダクトデザイン、社会学それぞれの専門家による多角的視点からの調査・考察もあわせて実施した。 中国は現在、急速な近代化の渦中にあり、都市化の波は山間部にもおよんでいる。そのなかで客家民居が失われつつある現実を目の当たりにした。中国側研究者も自国の貴重な文化的資産が失われつつあることを危惧しており、そのことについても彼らとの討論を重ね、客家民居研究の新しい視点を探った。 これに加えて今年度は本研究最終年度であり、過去三年行なって来た研究成果と考察を、報告書として作成し結果を示した。
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