研究課題/領域番号 |
17404020
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
益田 兼房 立命館大学, 立命館グローバルイノベーション研究機構, 教授 (50313317)
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研究分担者 |
神野 善治 武蔵野美術大学, 造形学部, 教授 (70298024)
板谷 直子 (牛谷 直子) 立命館グローバルイノベーション研究機構, ポスドク研究員 (90399064)
李 明善 立命館グローバルイノベーション研究機構, ポスドク研究員 (20434714)
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キーワード | 東アジア建築史 / 集落形成史 / 無形文化財 / 文化的空間 / 世界遺産 / 文化的空間 / 世界遺産 |
研究概要 |
東アジアの歴史的な民家建築や集落の研究を進める上で、国境を越えて類似の類型がどう分布しているか、その分布圏を成立させる必然的な自然的人文的な理由は何か、という研究目的を掲げて、この研究では具体的には、黒潮文化圏の調査研究を行った。 すなわち、東アジア海域を北上する黒潮が、フィリピンから台湾を経て、東寄りへは日本の沖縄南西諸島や太平洋側沿岸域、あるいは北寄りに韓国済州島へと達しており、そこに類似の集落構成分布が見られ、現在も比較的良い保存状況で残されている事例があることが確認できた。具体的には、日本国内では、沖縄の竹富島、波照間島、伊豆八丈島において、類似の石垣で囲まれた密集した集落形態等を調査した。また黒潮文化圏の源流に位置する、フィリピンが世界遺産登録申請を行っているバタネス諸島、台湾の蘭嶼島、韓国の済州島について、同様の台風対策になる石垣等を用いた伝統的集落の調査を行った。これらの集落の民家調査の結果では、台所棟と居住棟を分ける分棟型形式が共通しており、その無形文化遺産を核とする文化的空間が豊かに残り、またそれぞれの宗教は異なるが基層文化としてのアニミズムが類似の祭祀的な空間を今に伝えているところが多いことなどが判明した。 この調査研究成果を全て反映したものではないが、研究期間中の2007年度には沖縄最南端の竹富町は、竹富島波照間島を対象とする世界遺産登録暫定候補申請を、文化庁に行った。研究代表者は、その準備委員会のメンバーとして、研究成果の反映に努めた。その基本概念は、黒潮文化圏の世界遺産として、将来的にはこれらの島々の集落を国境をまたいだ一つの世界遺産にしようとするもので、国際的に評価される可能性も高いと考えられる。
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