研究課題/領域番号 |
17404021
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 准教授 (70243087)
|
研究分担者 |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
三原 久明 京都大学, 化学研究所, 助教 (30324693)
|
キーワード | 低温菌 / 好冷菌 / 低温活性酵素 / 有用酵素 / 有用遺伝子 / 応用微生物 / 特殊環境 |
研究概要 |
1.産業上有用な好冷性酵素などの生産に適したタンパク質生産システムの開発を目的として、宿主となる低温菌の探索を行った。シベリア永久凍土、フィンランド北極圏土壌、アラスカ永久凍土などから、4℃付近での生育が速く、特定のタンパク質を分泌高生産する低温菌を選抜した。フィンランド土壌由来Bacillus globisporus B9の培養上清には、Sporosarcina ureae由来S-layer proteinのホモログが著量認められた。本タンパク質の分泌シグナル配列、および遺伝子のプロモーター配列を利用することで、外来タンパク質を効率よく分泌生産するシステムを構築できると考えられた。形質転換法を検討した結果、プロトプラスト法により、pHY300PLKを本菌に導入できることが明らかとなった。 2.南極海水から分離したShewanella livingstonensis Ac10が低温で誘導合成するタンパク質を同定し、本菌の低温環境適応への関与を解析した。プロモーター探索ベクターを用いて低温誘導性プロモーターを探索した。その結果、inositol monophosphatase遺伝子(suhB)のプロモーターが低温誘導性プロモーターとして同定された。suhB破壊株では低温での生育能が低下し、本遺伝子が低温での生育に重要であることが示された。 3.ヘモリシン共制御タンパク質(Hcp)ホモログを分泌高生産するPseudomonas sp. Ak26(以下Ak26株)をアラスカ永久凍土より単離した。Hcpホモログの分泌システムを利用して異種タンパク質高生産系を開発することを目的として、本菌の形質転換法を検討した。その結果、広宿主域ベクターであるpJRD215を有したEscherichia coli S17-1株と接合させることにより、形質転換が可能であることが明らかとなった。さらに、Ak26株が高生産するポーリンタンパク質OprDの遺伝子のプロモーター及びSD配列をpJRD215に組み込むことで、Ak26株でタンパク質を高発現させるベクターを構築した。
|