研究課題/領域番号 |
17404024
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
江原 幸雄 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10002346)
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研究分担者 |
糸井 龍一 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50108768)
藤光 康宏 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10264095)
今井 亮 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (90223304)
西島 潤 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (40315114)
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キーワード | メラピ火山 / ウンガラン火山 / メルバブ火山 / 地熱系発達 / 熱水系 / 側方流動 / 地熱系モデリング / 重力構造解析 |
研究概要 |
ウンガラン火山に関しては、前年度までに作成した地熱系概念モデルおよび予備的な数値モデルに墓づいて、より詳細な数値モデリングを行い、噴気地域形成に至る熱水系モデルを構築するとともに、地熱資源量評価を行った。その結果、火山体中心部の深部から供給される200℃を超える深部地熱流体が火山体を上昇し、およそ地表下500m深程度で側方流動に転じ、その一部が、地表までに達する断層状構造を上昇し、地表で地熱徴候ゲドンソンゴ噴気地域を形成し、地熱流体の大部分はさらに山体下方へ流動するとのモデルを作成した。ウンガラン火山では、地表から地下深部へ浸透した降水が地下深部のマグマによって熱伝導的に加熱され、深部地熱流体が形成され、火出体中心部にある高透水性ゾーンを上昇することによって、熱水系が発達したものと推定され、十分に発達した熱水系と考えられる。得られた数値モデルに基づいて容積法によって地熱資源量評価を行った結果、発電出力にして2.3MW〜40.4MWと推定され、有望な地熱資源が存在することが推定された。推定幅がやや大きいが、これは深部構造に不確かさがあることによる。 今年度は更に、ウンガラン火山とメラピ火山の中間にある、メルバブ火山の地熱系発達の状態を確認するために、微小地震観測、電気探査、1m深地温測定、土壌CO2ガス測定を行った。山腹の一部の火口状地形に対応して低比抵抗構造が検出されたが、火山体内の微小地震活動は1日1個程度で低調であり、また、明確な地温異常はなく、土壌CO2ガス濃度異常もごく限られた地域にしか検出されなかった。従ってメルバブ火山では十分な熱水系が発達している可能性は低いと判断された。本研究における現地調査及びそれに基づく熱水系の数値モデリングの結果、メラピ火山ではマグマからのマグマ性流体の供給による気相を含む若い熱水系が発達している一方、ウンガラン火山では十分発達した熱水卓越型の熱水系が存在しており、地熱発電が可能な有望な地熱資源が賦存していることが明らかにされた。
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