研究課題/領域番号 |
17404025
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
金田 博彰 東邦大学, 理学部, 教授 (10092181)
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研究分担者 |
小林 祥一 岡山理科大学, 理学部, 教授 (20109739)
尾関 博之 東邦大学, 理学部, 准教授 (70260031)
大久保 誠介 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90092155)
福井 勝則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (70251361)
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キーワード | タクラマカン沙漠 / 金属鉱物鉱床 / 石油・天然ガス / 風力発電 / 岩塩鉱床 / 土屋斑岩型鉱床 / 和田玉石 / クロマイト鉱床 |
研究概要 |
19年度は、(1)タクラマカン沙漠およびその周辺域のエネルギー・鉱物資源と地質環境現地調査、(2)現地調査で採取した研究試料の鉱物化学的検討を試みた。 (1)の現地調査は2007年8月6日〜21日かけて行われた。タクラマカン沙漠およびその周辺域を資源および環境調査、さらには風力発電設備の見学を試みた。タクラマカン沙漠北東端に位置する善善(シャンシャン)-合密(ハミ)は大規模の金属鉱物鉱床、石油天然ガス田、塩田、それに多数の風力発電設備が分布する。金属鉱物資源として、土屋(Tuwu)、延東(Yandong)、雅満蘇(Yamansu)、磁海(Cihaj)などを調査した。土屋-延東鉱床は一連の資源分布域とみなされる大規模な斑岩型銅鉱床である。沙漠に分布する鉱床で地表部はプロピライト変質帯を形成し、鉱床上部に輝銅鉱(CuS)、孔雀石(CuCO_3・H_2O)、酸化銅(CuO,Cu_2O)が分布し、鉱床下部には黄銅鉱(CuFeS_2)が分布する。岩塩鉱床として、雅満蘇鉱床および磁海鉱床はともに鉄鉱床で、石灰岩や堆積岩類を母岩としている。特に、石灰岩と接するところではスカルン鉱物が産し、その中の柘榴石中に磁鉄鉱が、輝石中に黄銅鉱-黄鉄鉱が分布する典型的なスカルン型鉱床の累帯分布構造を示す。夢布泊(Luobupo)は岩塩鉱床で、NAC1を主として産し、他にKC1、LiC1などが随伴する。また微量元素としてRb、Cs、それにMgが検出された。タクラマカン沙漠南端に位置する和田(ホータン)周辺も、玉石の産出で有名であるが、塔木鉱床など大規模なミシシッピィ型鉛亜鉛鉱床が存在する。タクラマカン沙漠西端域のカシュガル近傍には、鳥拉根鉛亜鉛鉱床や滴水洞銅鉱床が分布する。 (2)の採取鉱物の鉱物化学的研究は、カラマイ石油鉱床近傍のスーチャーゾーン(付加体縫合線)近傍に胚胎するサタトカイ(Sartokay)クロム(Cr)鉱床の鉱石を検討することにより進められた。当鉱床はオフィオライト(ophiolite)帯に分布すクロマイト鉱床であり、黒色の鉱石中に白色のローデンジャイト(rodingite)が細脈状に分布する。ローデンジャイトは輝石をしばしば含み、その輝石中にベスビアナイト(vesvianite)が存在する。ベスビアナイトには多量のクロムが固溶しており、輝石中のベスビアナイトのクロム量と母体の輝石中の鉄、マグネシウム含有量に負の相関関係が見られる。
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