研究課題
本研究は2004年3月26日にインドネシア共和国南スラウエシ州にあるベワカレエン山にて発生した総量2.5億m^3の大規模な山体崩壊により、ジェネベラン川源流部に堆積した土砂の侵食流出状況を把握し、かつ今後の経年的な変化を追跡することにより、火山地域に特有な山体崩壊により発生した堆積土砂の、下流への流出の経年変化の特性を把握すると共に、降雨条件などを考慮した流出土砂量の予測手法を確立することを目的とする。また下流への微細土砂の流出についてもその状況を把握し、微細土砂流出予測手法を検討するための基礎資料を取得するものである。そのために平成17年度は以下の項目について研究を実施した。(1)山体崩壊により発生した堆積土砂の侵食状況の把握現地調査により侵食状況を調査し、山体崩壊発生直後、そして平成16年の調査時のそれと比較し、侵食の進行状況を把握した。また山体崩壊発生前と、発生後のいくつかの時期について衛星画像解析を行い、堆積土砂の侵食状況を定量的に把握した。(2)下流への土砂流出状況の把握下流部で採取した流出土砂の放射性同位元素の解析により、土砂流出源の特定を試みた。(3)山体崩壊発生機構の検討現地調査により山体崩壊の発生源の範囲や崩壊量について正確に把握すると共に、崩壊機構について検討した。以上のような活動を実施したが、研究初年度ということで特にまとまった成果の公表は未だない。