研究課題
基盤研究(B)
インドネシア共和国南スラウエシ州のバワカレエン山のカルデラ内の山体崩壊堆積土砂を対象に、現地調査と衛星画像解析により以下の研究を行った。(1)山体崩壊により発生した堆積土砂の侵食状況の把握。現地での地形計測と、衛星画像解析による地形データ取得により堆積土砂のガリー形状の地形データを取得し、毎年のデータを比較することによって堆積土砂の侵食量の経年変化を把握した。その結果山体崩壊土砂の堆積直後の1年目が最も侵食土砂量が多く、2,3年目と経過するに連れ、急激に侵食土砂量は減少していった。これは多くの火山において、火砕流などの火山活動により大量の土砂が生産された後の侵食土砂量の経年変化と同様の傾向である。この堆積土砂の急激な侵食は未だ継続しており、侵食の停止する条件の解明が必要である。また1年目には堆積土砂の侵食に伴ってガリーの幅、深さ共に急激な発達を見せたが、その後深さ方向の侵食に比べて幅方向の侵食が大きくなっていった。これは初期にはガリーそのものの形成により顕著な侵食が発生するが、その後はガリーの側壁の渓岸侵食が卓越するようになっていることを示す。侵食停止条件の検討のためには、下流への土砂流出とガリーの発達の関係を検討する必要がある。(2)侵食されて下流に流下した土砂の流出範囲の検討。バワカレエン山カルデラから流下するジェネベラン川において、流下土砂をサンプリングし、それらに含まれる放射性同位体を解析することにより、山体崩壊堆積土砂がどれだけ下流へ流下したかを確認した。ただし流下土砂のサンプリングは2年目であること、そして現地協力者に委託して行ったが、なかなか良好にサンプリングが行えず、結果として採取できたサンプルとその時期が少なかったため、明確な結論は導けなかった。より多くのサンプリングを、より多くの箇所で行う必要がある。
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