研究概要 |
本年度は以下の項目について研究を行った。 1.巣探し行動の観察 日本国内においては、筑波大学構内、茨城県つくば市桜、茨城県笠間市において30個を超えるコマルハナバチとトラマルハナバチ野生巣を発見した。そのうち大学構内とつくば市桜において発見されたトラマルハナバチについては、巣の出入りの連続観察と巣周辺の餌資源の変動を調査した(下野et al.JES53にて発表予定)。フィンランドではコリとヘルシンキにてそれぞれBombus lucorumとB.lapidariusの巣を発見した。どちらも技術的に掘り出すことができなかったものの、巣探しのknow howが国境を超えて通用することが明らかになった。一方中国重慶では、発見できたマルハナバチの個体数が少なく、巣を発見するまでに至らなかった。中国では、もう少し北方の地域を調査対象とするため、北京でマルハナバチを研究する研究者とコンタクトを持った。 2.人工巣の作成 段ボールと紙製の筒、カポックなどの充填材を使った人工巣を、筑波大キャンパスの前年度マルハナバチが多く見られた場所に、合計220個設置した。しかし、マルハナバチが営巣に利用した人口巣は得られなかった。 3.採集した巣の解析 国内で発見したすべての巣を掘り出し、巣の中の花粉分析を行い(顕微鏡デジタルカメラ購入理由)、花粉資源利用パターンの変遷と巣の成功の関係について研究を行った(Munidasa et al.JES53,EAFES2にて発表予定)。巣を掘り出す際には、ワーカーや新女王蜂を採集した。これらと繭の中の幼虫をすべてについてDNAマイクロサテライト分析を行い、一回交尾か複数回交尾かを明らかにした(小久保et al.JES53発表予定)。
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