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2006 年度 実績報告書

熱帯雨林の着生植物とアリの共生系が林冠の生物群集にあたえる影響

研究課題

研究課題/領域番号 17405006
研究機関京都大学

研究代表者

市岡 孝朗  京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助教授 (40252283)

研究分担者 乾 陽子  大阪教育大学, 教育学部, 助手 (10343261)
キーワードアリ類群集 / 東南アジア熱帯 / 生物間相互作用 / 着生植物 / 植食性昆虫 / 熱帯雨林 / つる植物 / 展葉フェノロジー
研究概要

本年度は、まず、熱帯雨林の林冠部における着生植物やつる植物の空間分布が、樹木サイズと樹種の違いとどのように相関しているかを調べた。その結果、樹種によって、つる植物および着生植物の量や種構成が異なっていることが示された。この原因として、樹種による枝の伸張パターンの違いがつる植物・着生植物の成長・定着に大きな影響をもたらしていることが推定された。昨年までの結果(公表準備中)により、着生植物やつる植物の量が林冠を構成する樹木上のアリ類の種構成に大きな影響を与えていることが示されているが、今年度の結果から、樹種とそこに生息するアリ類の種構成は、樹種による枝の伸張パターンが与える着生植物・つる植物の量への影響を通して密接に関係していることが示された。次に、林冠部における樹木の展葉フェノロジーと節足動物群集の調査をおこなった。その結果、林冠部では、花外蜜腺を分泌することの多い新葉の存在量とアリ類の量にも正の相関があり、また、新葉量が多くしたがってアリ類の存在量が多い林冠木では植食性昆虫の量が少なく、それらによる食害量が少なくなる傾向が認められた(公表準備中)。さらに、着生のシダ類に営巣し、林冠部の広い空間になわばりを形成する攻撃性の強いアリ種(シリアゲアリ属の一種)を林冠部の一部の空間から除去してその後の節足動物群集の経過を観察した。その結果、植食性昆虫による食害量が有意に増加することが確かめられた(公表準備中)。このアリ種が何らかの原因で消滅した林冠木では、このアリ種が利用していた着生植物が後を追って死滅する一方、何種類かのつる植物が急激に繁茂し始めており、このアリ種によるつる植物抑制効果も認められた。以上、本年度の結果は、熱帯雨林の林冠部においては、少なくとも、林冠を構成する高木、着生植物、つる植物、アリ類、植食性昆虫の間に非常に強い相互作用が直接的、間接的にはたらいており、それぞれの存在量や種類構成に大きな影響力を与えていることを示した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Isolation and characterization of eight microsatellite loci in two morphotypes of the Southeast Asian army ant, Aenictus laeviceps2007

    • 著者名/発表者名
      K.HAMAGUCHI, T.MATSUMOTO, M.MARUYAMA, Y.HASHIMOTO, S.YAMANE, T.ITIOKA
    • 雑誌名

      Molecular Ecology Primer Notes (印刷中)

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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