研究課題/領域番号 |
17405012
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
増田 隆一 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (80192748)
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研究分担者 |
大舘 智志 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60292041)
天野 哲也 北海道大学, 総合博物館, 教授 (90125279)
押田 龍夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (50374765)
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キーワード | 国際研究者交流 / ロシア / シベリア / 進化 / 動物地理 / 多様性 / 古代DNA / マンモス動物群 |
研究概要 |
本年度は最終年度であり、計画にしたがって研究を遂行した。ヒグマの地理的変異について雄性遺伝子(Y染色体DNA)をマーカーにして調べたところ、北海道集団とロシアのシベリア集団との問でのちがいが極めて小さかった。この結果は・、ヒグマという種の特徴を示しているのか、または、分析した特定のヒグマ集団がたどった動物地理的歴史を反映しているのか、について調べる必要性がでてきた。そのため、まず、種レベルの特徴を把握するため、クマ科8種を対象にY染色体DNAの分子進化的特徴を調べたところ、種間のちがいが検出され、種分化後のY染色体DNAの進化速度が遅くなっていることが明らかとなった。これはクマ類の雄移動性-雌定住性という社会構造を反映しているものと考えられた。一方、ヒグマの地理的変異を調べる一環として、北海道ヒグマ集団の主要組織適合性遺伝子複合体クラスII遺伝子を調べたところ、その多様性は比較的低く、分子進化的特徴はボトルネックを経ている可能性を示唆した。以上の結果は、北海道ヒグマのY染色体DNAや主要組織適合性遺伝子複合体が、北海道への渡来以前に大陸で分化し、その特徴が北海道で地理的に隔離された後にも保持されていることを示している。 増田・天野は、平成20年7月にロシア科学アカデミー動植物生態学研究所を訪問し標本調査を行った。その際に、ロシア研究者とともにウラル山脈においてヒグマの生息地調査および考古学的遺跡の調査を行い、ヒグマおよびその他の哺乳類の出土骨を調べることができた。大舘と押田は、トガリネズミ類とリス類の標本収集を日本とロシアで継続し、分子系統解析を行った。その結果、キタリスの北海道産とシベリア産の間の遺伝的特徴が近いことが示唆された。
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