研究分担者 |
伴野 豊 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (50192711)
行弘 研司 独)農業生物資源研究所, 主任研究員 (50343992)
伊藤 雅信 京都工芸繊維大学, 大学院・工芸科学研究科, 准教授 (60221082)
日下部 宜宏 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (30253595)
佐原 健 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (30241368)
|
研究概要 |
台湾、韓国、日本の隠岐島他のクワコを採集し、染色体数の確認とDNAを用いたマーカー領域の調査を行った。その過程で、韓国産のクワコから転移能力を有すると考えられ、カイコのBmmar6に相同性の高い、転移性因子BmamaT1を単離した(J. Insect Biotech. & Sericology,77(1),2008)。また、rDNA領域の解析から、日本型クワコを中国や韓国のタイプと簡便に区別する方法を見出した(J. Insect Biotech. & Sericology,77(2),2008)。また、新たに解読したものと公開済みの配列をあわせたカイコ63、中国産、韓国産クワコそれぞれ2、日本産クワコ75のミトコンドリアcox1遺伝子の693bpの配列を比較し次の結果を得た。(1)日本産クワコとそれ以外は、少なくとも15サイトで異なる。(2)カイコでは4ハプロタイプが観察され、もっとも多いタイプと中国産、韓国産クワコのものはそれぞれ2塩基異なっていた。(3)日本産クワコではハプロタイプが13種確認されたが、そのうちの2つが全体の80%を占めた。祖先遺伝子の重複によって生じたと考えられる2つのAlp遺伝子(Alp-mとAlp-s)が、遺伝子の構造解析と免疫組織化学的手法により、日本産クワコにも存在することを明らかにした。さらにこれらの構造比較からカイコAlp遺伝子の進化を推定した。その結果、遺伝子部分の塩基配列は高度に保存されているのに対し、介在配列には大規模な構造上の改変(重複や挿入/欠失)が生じていた。カイコ介在配列の多型中もっとも出現頻度が高いCタイプが、クワコ介在配列と最も高い相同性を示した。カイコCタイプは最も祖先的なタイプである可能性が示唆された(J. Insect Biotech. & Sericology, in press,2008)。カイコのBACクローンを用いて、クワコのW染色体へのFISHを行い、遺伝子の局在をカイコのそれと比較した(.Insect Biotech. & Sericology, 76(1),2007)。
|