研究課題
大規模なサンゴの白化現象時にはサンゴ種間・属間におけるストレス耐性の違いが報告されている。また、サンゴ種間差とは別に、サンゴ群体の形状によるストレス耐性の差が観察されている。特に塊状形態のサンゴは、樹状形態のサンゴに比べ、環境ストレスに対して強い耐性を有することが報告されている。しかし、その理由は依然解明されてはいない。近年、塊状サンゴ群体の骨格内から多様なバクテリア・微細藻類が確認されるようになり、その生態系における機能や、サンゴ・共生藻との未知相互作用についての関心が高まっている。本調査においては、穿孔動物の侵入を受けにくいサンゴ種であるキクメイシ科の塊状サンゴGoniastrea asperaを研究対象として用いることで、可能な限り生物影響を排除した状態の骨格藻類の多様性を調べることを目的とした。特に、日本とオーストラリアの複数海域で採取したサンゴ群体を調べることにより、骨格内藻類の多様性比較を南半球と北半球間で行うことを試みた。本年度の海外調査は、世界自然遺産にも登録されており、世界最大のサンゴ礁であるGreat Barrier Reef(GBR)で実施した。保護法令・条例によって厳しく管理されているサンゴ礁海域での採取のため、当該大学の研究者であるAndrew H Baird博士の採捕許可のもと、タウンズビルを調査拠点としてサンゴ群体の採取活動をおこなた。渡航前に、タウンズビル周辺のGBR海域内におけるサンゴ群集の分布・種組成についてBaird博士と綿密な協議をおこなって本調査を実施した。本調査は、Baird博士によるサンゴ採取許可取得後、2007年1月に、Magnetic(マグネティック)島Nelly BayとOrpheus(オルフェウス)島Pioneer Bayにおいて各10群体のG.asperaサンプルの採集をおこなった。James Cook大学において、DNA抽出のためのサンプル処理をおこない、試料と共に液体窒素で凍結後、日本に持ち帰った。現在、試料の解析をおこなっている。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (3件)
Microbe 1
ページ: 347-347
Coral Reefs 25
ページ: 382-382
Biology Letters 2
ページ: 257-260