研究概要 |
平成18年度には,マレーシア・サラワク州のバカムおよびニア造林試験区およびその周辺の熱帯雨林の成熟林と二次林において,以下の調査・研究を実施した。 1.植裁木の成長と生残率:各造林試験区に植裁された樹木の,直径,樹高を測定し,生育状況を調査することにより,植裁方法,植裁環境,樹種による成長の良否,生残率を比較検討した。 2.植裁木の生態生理:植裁木が植裁地の環境にどのように順応しているかを明らかにする目的で,光合成,呼吸,蒸散,水ポテンシャル,開葉・落葉,樹体内養分などを測定した結果より,植裁方法,植裁環境,樹種による違いを比較検討した。また、熱帯造林の一手法となりうる萌芽更新について、在来種の萌芽能力をしらべた。 3.動物・植物の多様性と相互作用:動物,植物の多様性とその相互作用系の回復評価の指標とするため,焼畑跡地、二次林、成熟林のそれぞれ回復段階の異なる立地における鳥類相を調査した。 4.遺伝的多様性:造林試験区の遺伝的変異を解析するとともに、フタバガキ科数種について、サラワク州全域の遺伝的多様性とその地域的分化に関する調査をおこなった。 5.土壌の理化学性と微生物:各調査区において,土壌の理化学性,土壌微生物相と植栽環境および植裁樹種との関係を解析した。 6.地域住民の意識:既存農地の現状や問題点を評価するため,ルボックアントゥ地域において,イバン人が所有する焼畑二次林,ゴム園,コショウ畑およびサラワク土地統合再開発公社(SALCRA)が所有する油ヤシ園で,聞き取り調査,植生調査および土壌調査・分析を行った. 各調査における成果の一部を、日本熱帯生態学会16回大会、2006年度日本土壌肥料学会関西支部講演会、18th World Congress of Soil Scienceで発表した。
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