研究課題/領域番号 |
17405031
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
二宮 生夫 愛媛大学, 農学部, 教授 (80172732)
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研究分担者 |
原田 光 愛媛大学, 農学部, 教授 (40150396)
桜井 克年 高知大学, 農学部, 教授 (90192088)
田中 壮太 高知大学, 大学院・黒潮圏海洋科学研究科, 助教 (10304669)
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キーワード | サラワク / 熱帯林 / 造林 / 生態系修復 / 樹木生態生理 / 遺伝的多様性 / 地域 / 土壌 |
研究概要 |
サラワク州ニア森林保護区において、異なる植生下に植栽された苗の生存と生育の違いを明らかにするため、3植生下(草地、2次林、択伐林)で苗の生存と生育について調査を行った。また2次林区の3プロットで各個体に対応する林冠関空度、土壌水分、土壌硬度を測定した。植栽苗は、2次林区で他の植生より低い枯死率を示した。一方、苗の成長は、草地区で良好であった。土壌水分含量と林冠関空度は、プロット間で有意な差があった。低い位置にあり降雨時にみずみちが出現するプロットの土壌水分含量が特に高かった。林冠関空度は、立木密度が低いプロットで高かった。苗の成長速度は、土壌水分含量と林冠開空度が高いプロットほど高い傾向にあった。苗の相対成長速度は、土壌水分含量及び林冠関空度と正の相関を示した。 バカム試験地において、植林後9年目の植栽樹の調査を行った。植栽樹の生存率は、Koompasiamalaccensisが53.3%と高かったが、その他の樹種の生存率は10〜30%であった。土壌は、砂質埴壌土であり、pH4.5と強い酸性を示し、養分含量は低かった。植栽1年目の結果と比較すると、9年目には養分含量がさらに低くなり、植栽樹や二次林植生による土壌養分の吸収が原因であると考えられた。また、全炭素も減少していたが、C/N比は増加していた。土壌の理化学性と植栽樹の生育について、植栽1年目には表層土のpH(H_2O)と植栽苗の生存率に正の相関があった。以上のことから、バカム試験地では、劣悪な土壌環境のため苗の活着とその後の定着が悪いこと、特に光条件が植栽樹の生存に影響を及ぼしていることが明らかとなった。また、遺伝的多様性や動植物の多様性、地域住民の意識についても調査をおこなった。 以上の結果、植栽適地や樹種ごとの環境順応過程、植際による土壌環境の変化など、熱帯林修復技術の開発に重要な知見が得られた。
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