研究概要 |
京都議定書におけるCDM植林事業が成功するかどうかを決める要因の一つに、地域の住民をプロジェクトに主体的に参加させることができるかどうかがある。そこで、下記に挙げる議定書非付属書1の国において調査を来ない、どのようなプロセスが住民参加に必要かを分析した。 1)タイ 住民参加のインセンティブ、それの持続性についてタイ北部のNGOや集落を訪問し聞き取り調査を行うと共に、集落の違いによる森林保全の違いが生ずる背景を分析した。 2)インドネシア 昨年度に引き続き、集落ベースでの植林事業の課題を掘り下げるため、 同じシオマス村の地理条件の異なる2グループ、各25人に絞り込み、 1)参加の動機、2)植林事業の影響、3)収益性、について調査を 行った。植林事業の採算性は低く、コスト削減の試みやCDM事業に よる植林の可能性、また植林事業自体のリスク回避方策、いかに持続的に 森林を管理していくか、などについて、さらに検討していく必要があることが 明らかになった。 3)パナマ パナマ運河流域では国際農業開発基金(IFAD),米国国際開発庁(USAID),パナマ運河庁、JICAが、それぞれ異なった手法で流域の森林保全を目指した住民参加型のプロジェクトを実施している。この4つのプロジェクトについて、各ドナーが採用しているアプローチの違いが住民の組織化及び組織の持続性にどのような影響を与えているのかをアンケート調査を行った。その際に農民組織の自立性、持続性、公平性という3つの観点から既存の4つのプロジェクトを評価し、どのように住民がプロジェクト終了後も適切に活動を継続できたかをモニタリングし、分析している。
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