ブラジル連邦共和国パラー州東北部沿海地域に焦点を当てて農場を訪問調査し、基礎データ収集を行った。この地域の日系農家は、トメアス-などの内陸部に比べ大規模かつ先進的経営で知られるが、計画入植地でなかったため、作付け体系や農業技術に関する実態はこれまで断片的にしか知られていなかった。日系農場は州都ベレーン市東側のほぼ200km四方に集中しているが、農場主とその家族はタパナン、サンタイザベル・ド・パラー、サントアントニオ・ド・タウアー、カスタニャール、イガラペアスー、サンタマリア・ド・パラー、ノーヴァチンボテウア、カパネマ、カピトンポッソ等の比較的治安の良い市街地に居住し、分散する耕地へ通作しており、近年その傾向がさらに進んでいることが分かった。そこで、申請者と汎アマゾニア日伯協会傘下日系団体の調査員が農場主とスケジュール調整の上、各農場を訪問し作付けインヴェントリーを実施した。形式は申請者が1996〜97年にトメアス-入植地全戸について行った調査(トメアス-文化協会2002年データ更新)をもとに若干の手直しをした。調査項目は農場名、住所、農家構成員・生年月日・職業・最終学歴、所有借入耕地番号・面積・植生内訳(原始林、拓伐済み原始林、二次林、作付け地)、耕地別の作目・作付け年・面積・植付け本数・現存本数・作付け形態(混植単作別)、および動物飼養頭羽数を記録した。また、農場の歴史、農牧業全般特にアグロフォレストリーに関する農場主の所感・洞察と、作付け・経営体系の特徴について観察記録をした。また、周辺の非日系人農家を訪問し、日系からの農業技術移転に関して現場観察をふまえた聞き取りを行った。
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