イタリア・トリノ市の家畜衛生研究所のカラメリ部長、インスブリア大(バレセ市)のトニオロ教授、ベロナ大学医学部のザヌソ教授のグループとともに、イタリアのヤコブ病、BSE材料を用いて、日本のモノクローナル抗体との反応性を見た。 日本のモノクローナル抗体は日本生物化学研究所の上田所長の研究グループにより開発されたものを用いた。モノクローナル抗体の反応性は、免疫組織化学及びウエスタン・プロッティングにより検討した。モノクローナル抗体の内、立体エピトープに反応するものが、マウス、羊、牛、サル、ヒトのプリオン病に対し、反応する事が明らかにされた。その中でクローン6C4抗体は、2型クロイツフェルトヤコブ病、クールー斑の周辺部のみと反応する事が明らかにされた。それに対し、クローンT2抗体は、クールー斑全体と反応するのが見られた。したがって、クールー斑の成熟には、様々な段階の存在することが明らかにされた。線上(liner)エピトープに対する抗体は、細胞質内のプリオン蛋白を染色した。それに対し、立体エピトープに対する1D12抗体は、核内に存在する正常プリオン蛋白を染色した。今まで核内における正常プリオン蛋白染色の結果は、他に報告されていない。したがって、1D12抗体はプリオン遺伝子の核内発現産物を研究する上で有用と考えられる。この内容は、Journal of Nero Virologyと、Journal of Microbiology and Immunologyに投稿され、現在審査中である。
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