研究課題/領域番号 |
17405045
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
高槻 成紀 麻布大学, 獣医学部, 教授 (00124595)
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研究分担者 |
佐藤 雅俊 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (60260402)
須田 知樹 立正大学, 環境科学部, 講師 (60409563)
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キーワード | モンゴル / 草原 / 生物多様性 / 放牧 / マーモット / マウンド / 均質 / 齧歯類 |
研究概要 |
平成19年度は7月と8月の2度モンゴルのブルガン地方とフスタイ国立公園を訪問し、以下の調査をおこなった。ブルガンでは放牧圧の異なる3カ所で群落調査をおこない、放牧圧に応じて群落がどのように変化するかを解明した。その結果、軽牧で多い大型の双子葉草本が著しく減少し、バイオマスも種数も放牧圧に応じて減少することが示された。減少の程度は小型イネ科あるいはスゲでは小さく、これちの種の優占度が相対的に大きくなった。大型双子葉草本は大半が虫媒花であるから、生物多様性の減少は植物だけででなく、それを利用する訪花昆虫も減少するものと予測される。したがった過放牧は生態系サービスの低下につながる。一方、重牧、中牧、軽牧の空間分布をみると、平坦地ではが、斜面では軽牧が多かく、平坦う地は過放牧状態であった。地形に応じた放牧圧の違いは計画的なものかどうか、判断がつかなかった。 またフスタイ国立公園ではシベリアマーモットのマウンド形成、齧歯類の調査した。均一でイネ科が優占する草原にマウンドが形成されると、その部分に地下の鉱物土壌が掘り出され、生育地が変化するために双子葉草本が生育するようになり、草原の均一さが破綻する。微地形的にみるとトンネルの入り口の窪みにやや大型の草本が多く、マウンドの上にはヨモギ属が多い。窪地の草本にはシオガマギク属があり、この場合は訪花昆虫が来訪する可能性が大きい。こうしてマーモットの存在は草原の生物多様性を高めている可能性がある。齧歯類は違いがはっきりせず、放牧があるほうが種数も個体数も多いという結果がえられた。 このほか、これまでにおこなった調査の解析をおこない一部を公表した。
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