研究課題
本研究では、中国の高ラドン地域において肺がんの症例・対照研究を行い、屋内ラドン・トロンばく露と肺がん罹患リスクとの関連を喫煙などの影響を考慮しながら定量的に評価した。2008年3月末までに、77人の症例と154人の対照について面接調査が完了した。そのうち、49人の症例と84人の対照については1年間(6ヶ月間×2回)のラドン・トロン弁別測定.トロン子孫核種測定、ラドンのレトロスペクティブ測定が完了し、また、別の症例15人、対照41人については半年間の測定が完了した。ただし、測定器の読み取り等が一部完了していない。なお、現在、新たに数十人の症例とその対照を追加し、最終的な症例数の合計が100人を上回る予定である。放医研の協力を得て、これらの対象者のラドン・トロン測定は約1年後に終了する予定である。また、検出力を増やすために、さらに、病理組織の確認をしていない症例を120人程度新たに追加することを計画している。現在、解析に用いることのできる本調査のデータ(2007年4月から1年間測定がなされた症例36人と対照72人)を解析するとRn-222#(Bq/m3)が<20を参照カテゴリーとすると、オッズ比(95%信頼区間)は20-49(Bq/m3)では3.67(0.38-35.2)、50-149(Bq/m3)では3.31(0.36-30.9)、150+(Bq/m3)>999であった。また、ラドン・トロン濃度の時間変動に関わる詳細調査について2007年10月および2008年4-5月のそれぞれ3週間、調査対象地域の住居10軒において、ラドン・トロンとそれらの子孫核種濃度の時間変動に関わる詳細な測定を実施した。住居の種類別(洞窟が地下にあるかなど)にラドン濃度の時間変動パターンが異なることが示唆され、当地域のラドン疫学研究において住居の種類を考慮した曝露評価が重要であることが指摘された。
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