研究課題/領域番号 |
17406006
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研究機関 | 女子栄養大学 |
研究代表者 |
香川 靖雄 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (30048962)
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研究分担者 |
小松 文夫 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (10014250)
金子 嘉徳 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (20204571)
川端 輝江 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (80190932)
渡邊 早苗 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (00076184)
佐久間 充 女子栄養大学, 栄養科学研究所, 客員研究員 (90010066)
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キーワード | モンゴル / 平均寿命 / 老化・抗老化 / 酸化ストレス度 / 抗酸化能 / 抗酸化食品 / 血清脂質 / 食事調査 |
研究概要 |
『目的』動脈硬化、高血圧、心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などの生活習慣病の増加は高齢化社会にある日本の重大な社会・医療問題である。本学は平成11年からトンガ、タイ、パラオ、中国、それにモンゴルの健康調査を実施してきたが、特にモンゴル人は日本人に比べ平均寿命が男女とも15歳短い。モンゴル人の短寿命の要因を明らかにすることによって生活習慣病の予防や抗老化対策が見えてくると思われる。肉食モンゴル人は食の欧米化した日本人の貴重なモデルであり、日本人の「抗老化対策」に十分参考になるはずである。そのため平成17年度から新たに研究班を組織し研究することにした。モンゴル人は自然環境や生活スタイルの理由から野菜などの抗酸化能食品はほとんど摂取しないので酸化ストレス度が高いと予想された。そこでモンゴル人の酸化ストレス度・抗酸化能から見た早期老化をテーマに研究を行った。 『方法』調査はモンゴル国でも都会の影響が少ない北部のムルン市で行った。平成19年度までに対象者365人について、食生活調査、身体計測、血清脂質、酸化ストレス度等の測定を行った。 『結果』モンゴル人は野菜や果物の摂取量が極めて少なかった。脂肪食が多く、特に飽和脂肪酸を多く摂取し、DHAやEPAなどのn-3系不飽和脂肪酸はきわめて少なかった。男性は40歳以上で目本人よりも多く肥満が目立ち、女性は30代で肥満が増加し、また握力は40代で急速に低下し、日本人より早く筋力低下・老化が始まると思われた。血液検査では日本人に比しLDL、レムナントLDLが高め、HDLが低め、葉酸が低めだった。酸化ストレス度は日本人に比し高めで、若いうちからすでに高いという結果であった。 『結論』モンゴル人は野菜をほとんど摂取しない偏った食生活で、酸化ストレス度が非常に高く、「高い酸化ストレス-脂質の過酸化-動脈硬化-早期老化-短寿命」の軌跡をたどっていると推測された。モンゴル人の現状は日本人の肥満傾向を考える上で参考になると思われた。
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