研究課題
子宮内HIV母子感染のリスク因子としての女性の生殖器感染症-妊婦の胎盤炎症とその検出法について【目的】世界的な「エイズの女性化」の結果、子どもへの母子感染も増加傾向にありアフリカでそれは顕著である。子宮内HIV母子感染を予測し予防介入するために、胎盤の絨毛膜羊膜炎のマーカーである子宮頚管顆粒球エラスターゼを測定し、子宮内HIV母子感染率との関連を明らかにする。【方法】ザンビア大学教育病院産婦人科を受診した出産時の妊婦を対象とし、同意による母児のHIV検査、助産師による計測、問診の他、出生児への子宮内感染を出生後24時間以内の児の末梢血のHIV1DNA-PCRにて確認した。子宮頚管粘液スワブを用いた好中球エラスターゼ測定には帝国臓器のキットを用い、膣スメアはGram染色標本を鏡険にて細菌性膣症スコア診断(Nugentの方法)を行なった。【結果】対象妊婦のHIV感染率、子宮内HIV母子感染率、エラスターゼ陽性率はそれぞれ27.7%(72/260)、15.3%(11/72)、25.1%(66/263)であった。エラスターゼ陽性母の子宮内HIV母子感染率は33.3%(7/21)と、陰性の7.8%(4/51)より有意に高かった(p<0.01)。母体要因としてBMI、妊娠・分娩要因として分娩時間、児/胎児要因として出生体重、胎盤重量・大きさ、リプロダクティブヘルス要因として細菌性膣症の有無をモデルにいれた多変量ロジスティック回帰分析によってもエラスターゼ陽性(絨毛膜羊膜炎)は子宮内HIV母子感染のリスクを8.65倍(95%CI,1.73-43.3)高めていた。【考察】リプロダクティブヘルスとしての妊婦の生殖器感染症をエラスターゼのような簡易キットで妊娠中に予測検知し、抗生物質による安価な予防的治療を行うことにより子宮内HIV母子感染を減少させる対策に利用できる可能性がある。Christine Kaseba-Sata, Francis Kasolo, Koji Ichiyama, Satoshi Mitarai, Ayako Nishiyama, Naohiro Kanayama and Naomi Wakasugi. Increased risk of intrauterine transmission of HIV-1 associated with granulocyte elastase in endocervical mucus. Journal of AIDS 2006 Feb 1;41(2):249-251
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