研究概要 |
マラリアの診断とG6PDの活性検査を同時に行ない,プリマキンによる根治および生殖母体殺滅療法を含んだマラリア治療方法を紹介するため,東南アジア各地を現地のマラリア従事者とともに巡回してきた。G6PD活性正常のマラリア患者にはプリマキンを与えて,再発の防止および蚊への伝播を断ち切るようにした。一方G6PD活性低下者には溶血発作の可能性を考慮し,プリマキンを与えないこととした。G6PD活性低下者は人口あたり5-10%程度であるため,大部分のマラリア患者に対してはプリマキンが使えることになった。 平成18年度はベトナムを訪れ,新生児に対するG6PD欠損症の迅速検査法導入に協力した。ベトナムでは新生児に対して代謝異常症のスクリーニング検査を開始しようとしており,G6PD活性検査もその一項目として考慮されている。ホーチミン市のTuDu病院(ベトちゃんドクちゃんで有名)では1日あたり100名前後の新生児が産まれるが,パイロット検査として彼等を対象としてG6PD活性検査が開始された。 一方G6PD欠損者がみつかると,文書による同意を得たうえでその両親のG6PD遺伝子を検査している。すでに数種類のG6PD変異がみつかっており,ベトナム人はマレーシア人やインドネシア人と同様,遺伝的多様性をもった民族であることが示されつつある。
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