研究概要 |
マラリアの診断とG6PDの活性検査を同時に行ない,プリマキンによる根治治療および生殖母体殺滅療法を含んだマラリア治療方法を紹介するため,前年度までカンボジア,ベトナム,インドネシアなどの東南アジア各国を現地のマラリア従事者とともに巡回してきた。G6PD活性検査法についてはすでに各国のカウンターパートにより独立して実施してもらえるようになり,活性低下者を見いだした時はインフォームドコンセントを取った上で血液検体を郵送してもらい,自治医大のラボでDNA分析を実施した。その結果今年度は150検体余りを分析することができ,ベトナムのホーチミン市の病院から得たサンプルに新規のG6PD変異を見いだした(G6PD Hochiminhと命名)。さらに今年度はアジアを出て,西アフリカのシエラレオネを訪れた。アフリカは歴史的にも熱帯熱マラリアが多かった(現在でも多い)地域であり,予想どおりG6PD欠損者が男子の10%超存在した。DNA分析を行なってみると,従来報告されていたG6PD A^+およびG6PD A-を多く見つけたが,それに加えここでも新規のG6PD変異型を見いだすことができた(G6PD Sierra Leoneと命名)。アフリカ各国でのG6PD変異の分析は全く手がつけられていないため,今後アフリカ各国にカウンターパートを求めて検査網を広げ,活性低下者の比率を求めるのみならず,G6PD変異型を民族別に調査してゆく動機が得られたといえる。
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