研究概要 |
本研究では,計算幾何学の技術を基盤に,二次元や三次元以上のデータに対する幾何形状抽出や領域分割問題を対象として,その精度を大きく損なわず,かつ現実に要請される処理速度の制約を満たす優れた実用的アルゴリズムを開発することを目的とする。 今年度は,理論面と応用面から以下の研究を行った。 1.「基本幾何情報の抽出」,「二次元及び多次元領域分割」アルゴリズムの開発 (a)ルートを持つ重み付きピクセル平面矩形領域分割問題を定義し,nをピクセルの総数としたとき,0(n^25)時間で領域分割を行うアルゴリズムを開発した。 (b)従来のx単調,xy単調および長方形の形状のクラスに限定した最適領域分割問題の厳密アルゴリズムの一層の高速化を図るヒューリスティックアルゴリズムを開発し,そのアルゴリズムの近似精度を評価した。併せて,メタヒューリスティック解法を開発した。 (c)代表者が従来開発した高次元数値属性分割のためのピラミッド構築アルゴリズムを,実用に供するように高速化した。 (d) (b)(c)で開発したアルゴリズムをベースに,2次元もしくは高次元データ分割手法を基礎にした,決定木や決定ルールを求めるアルゴリズムを開発した。 (e)単一の評価尺度ではなく,複数(3つ)の多目的な評価尺度による領域分割を行うために,hand-proving methodに基づくパレート解のパラメトリックな探索アルゴリズムを構築した。 2.実用的側面からの検証 (f) (a)で開発したアルゴリズムを実装し,都市の広域避難計画問題を模して検証を行った。 (g) (d)で開発したアルゴリズムを基礎に,建築のファサード画像からガラス開口部成分を検出するアルゴリズムを開発し,精度の検証を行った。 (h) (d)で開発したアルゴリズムを基礎に,マンションモデルルーム来揚者アンケートからの購買者予測モデルを構築し,その精度の検証および購買者の属性の抽出を行った。 (i) (e)で開発したアルゴリズムを,加藤らが開発したEMO|APヒューリスティクスに組み込み,京都市西京区の災害時における避難所の割当の問題に適用し,実験を行った。
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