研究概要 |
グラフの多分割カットの理論的研究を推進し,新しくグラフのk部分分割問題を定義し,定義した問題の最適解を解く高速アルゴリズムを提案した.また,新しい問題の解がグラフk分割問題の2倍近似解であることを示した.さらに,多分割カット問題の応用分野として,高次元空間データベースのクラスタリングやオーバーレイレットワーク上でのマルチパス通信を考察した.高次元空間データベースのクラスタリングでは約70次元までの50万データ要素からなるデータのクラスタリング結果が2つ与えられたときに,どちらのクラスタリング結果がより自然なクラスタリング結果であるかを評価する指標を提案した.提案指標の値を求めるために2つのクラスタリング結果の関係をグラフにて表現し,その連結関係を調べることでクラスタリング結果間における特徴の豊富さの差異を数値化する.また,オーバーレイネットワークでのサービスの質向上を目指した経路制御法に適した経路探索法を提案し,その有効性を理論的,実験的に解析した。 また,耐故障性を考慮した情報散布の問題などに応用をもっている完全独立全域木について研究を行った.グラフGの任意の二頂点u, vに対して,Gの全域木T1,T2,【triple bond】,Tkにおけるu, v間の道が互いにu, v以外の頂点及び辺を共有しないならば,T1,T2,【triple bond】,TkはGの完全独立全域木と呼ばれる.任意のトーラスグラフに2本の完全独立全域木が存在することを示した.トーラスグラフは4正則グラフであり,完全独立全域木の本数は2本が最適である.
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