研究概要 |
語彙関係記述を用いるWebサービス/Webアプリケーション構成法の基礎的研究として,以下の2つの研究を行った. 1.一貫性検査法 Webサービスを用いてWebアプリケーションを構成する場合にWebサービスにメタデータとして,事前条件と効果の記述を付与し,状態波及計算法により一貫性検査を行う方法を開発した.Webサービスを用いるWebアプリケーションを開発する場合,WSDLではWebサービスの前提条件や効果が記述されないため,条件を満足しないことによるエラーを開発段階で検出することは困難である.本手法は,OWL-Sを利用してWebサービスの事前条件と効果を定義し,開発段階で条件に対する矛盾を検出する. 2.クエリ処理法 複数の少し異なる語彙関係記述を持つ複数の文書に対する効率的なクエリ処理法を開発した.語彙関係記述は,複数の組織がそれぞれ独立に作成するため,検索を行う際には,異なる語彙関係記述を持つ複数の文書を統合してから処理を行う必要がある.本手法は,複数の異なる語彙関係記述に対し,適切に一般的なクラスやプロパティを定義する別の語彙関係記述を導入し,クエリ変換や推論を,各語彙関係記述を持つ文書ごとに分散して行う.全文書を1つに統合して各語彙関係記述が持つ要素間の関係を定義する手法に比べ,本手法によるクエリ処理の計算時間が小さいことを示した.さらに,応用例として,動画データから目的の場面を検索するシステムOntMediaを作成した.本システムにより,視聴者は動画データとメタデータをダウンロードし,検索を行う.一方,動画データ提供者は,OntMediaEditorにより,自分が作成した語彙関係記述に基づくメタデータの付与を容易に行うことができる.
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