研究概要 |
スケルトン並列プログラミングでは,典型的な並列処理パターンをカプセル化した「並列スケルトン」と呼ばれる基本関数を組み合わせてプログラムを作成する.スケルトン並列プログラミングをサポートする従来のライブラリには,言語拡張が行われていたり,データ型が制限されているなどの問題点があるが,本研究ではそのような問題点を克服した新しいライブラリを開発し公開することを目的としている.本研究で開発するライブラリSkeToに関して,今年度は以下のような成果を得ることができた. 1.SkeToがサポートするデータ型として,昨年度はリスト,二次元配列,二分木を実現したが,今年度は,分岐数が任意個であるようなRose木もサポートした.Rose木は,内部的には二分木を用いて表現し,二分木上の操作を用いて実現されている. 2.二次元配列に関しては,行列を上下左右に切り刻んで組み合わせたような内部構造で実現していたが,これでは科学技術計算に頻出する0要素の多い疎行列に関する実行効率があまりよくない.そこで疎行列を効率的に処理できるような方式を考案し,その効果を確認した. 3.昨年度のリストに加え、今年度は二次元配列と木に関する,融合変換に基づく最適化の理論を構築した.さらに,二次元配列に関して.SkeToへの試験的な組み込み作業を行った. 開発したライブラリSkeToは,ホームページhttp://www.ipl.t.u-toko.ac.jp/sketoを通して,フリーなソフトウェアとして公開されている.
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