研究課題
本年度の研究では、コモディティネットワークとして最も対価格性能比の良いGigabit Ethernetを用い、複数リンクを束ねることによりバンド幅増強と耐故障性機能の両者を実現するクラスタ向けネットワークプロトコルの開発と、tagged-VLANを用いて任意のネットワークトポロジーを安価なL2スイッチ上で構築することを可能とする特殊ドライバの開発を行い、これらを用いた大規模PCクラスタの実現可能性を明らかにした。マルチリンク・トランキングによるバンド幅増強では、従来フロー制御等が面倒とされてきたUDPを用い、故障検出をユーザレベルで行うことを可能とするプロトコルを設計・開発した。その結果、十分なメモリバンド幅を持つノードPCを用い、2リンクまでのGigabit Ethernetをトランクすることにより、理論ピーク性能にほぼ近い性能を出しつつリンク故障時には片リンクのみでも通信を継続する通信ソフトウェアレイヤの構築を実現した。tagged-VLANを用いたL2スイッチルーティングでは、従来手法で避けることのできなかった大量の仮想アドレスを各ノードPCに割り当てる方式を改良し、単一アドレスのみで複数経路のルーティングをIPベースネットワークで実現することを可能にした。これにより、fat-treeに代表されるスケーラブルな大規模並列システム用ネットワークトポロジーを、安価で高性能なL2 Gigabit Ethernetスイッチの集合と、ノードPC上でのソフトウェア処理によって、非常に高いバンド幅を持つ階層型ネットワークを構築する基本技術を確立した。さらに、このシステム上では従来のIPアドレッシングを完全に踏襲するため、ユーザアプリケーションやMPI等の通信ライブラリに全く手を加えることなく性能を向上できる点が最大の特徴である。
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情報処理学会研究報告 HPC-2005-105
ページ: 85-90
Proceedings of 2005 International Symposium on Parallel Architectures, Algorithms, and Networks
ページ: 84-91