研究概要 |
ユビキタスネットワーク社会で重要な役割を果たすダイナミック自律分散協調ネットワークの代表といえる、モバイルアドホックネットワーク、情報家電ネットワークとしてのセンサネットワーク、P2P(ピアツーピア)ネットワークに関して、以下の研究成果が得られた。 (1)モバイルアドホックネットワーク ・マルチキャスト通信に関し、標準プロトコルの有力候補とされているODMRPにおいて、データ中継ノードとなるFG (Forwarding Group)の数を削減することにより、冗長なデータ転送を回避するマルチキャスト経路構築アルゴリズムを考案した。本アルゴリズムを適用しない場合に比べて、最大約40%の冗長なデータ転送を回避し、結果として最大20%強のスループットを向上させることができる。 (2)情報家電ネットワークとしてのセンサネットワーク ・センサネットワークZigBeeに関して、センサの配置が与えられた場合のコーディネータとルータとの総消費電力を最小にする配置アルゴリズムを考案した。このアルゴリズムは、総消費電力最小化に加えてルータ数の最小化も実現するものであり、経済性の面でも高い効果を示す。 ・情報家電ネットワークのミドルウェアであるDLNA/UPnPとセンサネットワークを接続した時のゲートウェイのアーキテクチャを提案した。さらに、ゲートウェイからセンサ群へのデータ収集制御に関してユニキャストとブロードキャストの消費電力に関する比較を行い、これらの動的なスイッチング方式を提案した。 (3)P2P自律分散ネットワーク ・ノードの自律分散制御によりフラッディング時のメッセージ衝突を回避する手法を提案した.提案手法は各ノードが(リバースパスブロードキャストに類似した手法により)部分最短配信ツリーを構築し,部分最短配信ツリーに沿ってメッセージを転送することで,メッセージ衝突を避けるアイデア等を用いる。 ・最尤推定の考え方を用いて,一部のリンクのトラフィック量から,ネットワーク全体のトラフィック交流を推定する手法を提案した.また,Juniper社のDCUカウンタを用いて,異常トラフィックの効率的検出手法を提案した.
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